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pdf pdf Planning Budgeting and Forecasting 経営戦略を実現するPBFプロセス | KPMG | JP jp pbf report

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(1)

Planning, Budgeting

and Forecasting

計画策定・予算編成・業績予測

経営戦略を実現するPBFプロセス

(2)
(3)

1

2

3

本調査について

4

はじめに

6

エグゼクティブサマリー

7

適切な組織文化と

活動方法を生み出す

8

PBFプロセスを統合し、

質の高いデータを活用する

12

効果的で拡張性の高い

テクノロジーソリューションを導入展開する

16

執筆者について

22

(4)

本調査について

本グローバルレポートは、ACCAおよびKPMGが共同で実施した3部構成の調査の第1部 です。財務経理部門内の企業業績管理(EPM)*能力が、計画策定(Planning)・予算

編成(Budgeting)・業績予測(Forecasting)を実施するための適切な人材、プロセス、 テクノロジーを、どのようにしてCFOに対して提供しているかを評価したものです。

本レポートで使用したデータは、2015年4月17日から同5月11日にかけて実施されたアン ケート調査に基づき、50ヵ国以上900人超の財務経理担当者の見解を反映したものです。 同アンケート調査にはあらゆる規模の組織の従業員が参加していますが、その60%以上 が、従業員数1,000人超、年間売上1億米ドル以上の組織に属している回答者でした。

さらに、回答者の30%は、財務経理担当上級管理職/管理職であり、20%は経理担当者、 11%は経 理 財 務責 任 者(Financial Controller)、7%が 取 締 役 /共同 経 営 者、6%が CFO、これ以外の26%には、CEO、社内監査役、財務アナリスト、およびコンサルタント など、さまざまな役職が含まれています。

(5)
(6)

はじめに

KPMGでは、計画策定・予算編成・業績予測(PBF)は、組織がトップダウンの戦略目標を業績予測とシームレスに結び付け、 かつ戦略目標を基準として経営成績を報告するための3つの業績管理フレームワークの1つであると考えています(他の2つの 要素は、業績報告と多次元の収益性管理です)。

以下に、計画策定、予算編成、および業績予測という各要素の役割について概要を示します。

計画策定/

Planning

計画策定とは、トップダウンの戦略計画 であり、組織の目標達成に必要となる 企業全体のハイレベルの活動の戦略的 な狙いを定義することです。

予算編成/

Budgeting

予算 編 成とは、経 営 資 源の配分を、 組織全体にわたって策定された戦略的 な目標およびターゲットと整合させる ことです。

業績予測/

Forecasting

業績予測とは、ビジネスの期待業績を 追跡する活動です。これを利用してタイ ムリーな意思決定を下すことで、ター ゲットへの 未 達 状 況を解 決したり、 新たな機会を最大限に活用したりする ことが可能となります。

(7)

1. 適切な組織文化と

活動方法を生み出す

PBFのオーナーシップは事業部門内 にあり、財務経理部門はPBFプロセスの 進行役を務め、プロセスに投入されるインプット (要素)の1つに留まるべきです。

従来の業績評価指標は、戦略的な目標と整合して いることが稀であるため、組織内では短期的

な目標管理として使用されることになる でしょう。

2. PBFプロセスを

統合し、質の高い

データを活用する

PBFのプロセスや情報のやりとりは企業 内を横断するものであり、ビジネスのあらゆる 領域に影響を及ぼすものであるため、データガバ

ナンスはこれを反映しているべきです。

PBFプロセスではビッグデータを活用し、 また、このプロセスを戦略的目標達成の

ために利用しなければなりません。

3. 効果的で拡張性の

高いテクノロジーソリュー

ションを導入展開する

テクノロジーは、単発的な静的分析を提供 することから脱却し、より定常的で、迅速で、 動的なプロセス実現手段へと変貌しつつあります。

クラウドソリューションは、継続的改善を組み 込んだリアルタイムの報告機能を、より低廉

なコストで実現しつつあり、効果と効率 を増大させることができます。

エグゼクティブサマリー

計画策定・予算編成・業績予測(PBF)は、企業にとって、 その継続的な活動がいかにして将来のより長期的な 戦略達成に貢献するものであるかを理解する手助けと なるものです。PBFは、限りある経営資源を企業の 戦略的な意図に即した形で配分するための手法であり、 変化する状況に対応しながら戦略的目標を達成する ための手法です。

しかし、本調査によると、ビジネス環境が困難さを増す 中で、現行のPBFプロセスには欠陥が見られ、多くの 企業がビジネス上の戦略的ニーズおよび業務ニーズの いずれをも満たすことのできない業績管理プロセスに 膨大な時間を費やし続けていることが示されています。

(8)

1

77%

10%

9%

3% 2%

適切な組織文化と

活動方法を生み出す

適切な組 織文化を築くことは、トップが 適切なリーダーシップを示すことを含め、 計 画 策 定・予算 編 成・業 績 予 測(PBF) プロセスを発展させる上で欠かすことができ ません。PBFプロセスは、組織のあらゆる 部分に影響を及ぼす数少ない企業活動の 1つです。また、PBFプロセスは、情 報、 プロセス、そして人を企業全体にわたって 結び付けるものです。適切に実践した場合、 PBFプロセスは、競争優位の創出および 持続可能な長期的ビジネス価値の実現に つながる、より的確なビジネス上の意思決定 を促進する上で、最も重要な役割を果たす ものとなります。

しかし残念ながら、多くの場合、PBFプロ セスは依然として、古くから定着した慣行と して、財務経理部門が各事業部門に押し 付けるという形で運用されており、日常的 な業務の現実との整合性をほとんど失って います。上級管理職が包括的な戦略を策定 し、財務経理部門が概して予算と短期ター ゲットを設定しているということから、この プロセスは断片化され、事業部門から隔絶 されていることが少なくありません。そこ から頻繁に生じる結果は、ライン部門の 管理職が、自らはプロセスへのインプット に関与した覚えがないのに、そのプロセス からのアウトプットに対する結果責任を負わ される、という状況です。この状況では、 プロセスによって生み出される計画・予算・ 予測が事業部門から積極的な支持を得ら れる見込みはほとんどなくなってしまいます。

PBFプロセスのさまざまな要素にわたって 明確な意思決定権限を定めることは、多く の地域や事業部門に進出している複合的な 多階層企業において特に重要です。本調査 によると、現在、最も多くの時間をPBF プロセスに費やしているのは財務経理部門 である、というイメージが強いことが分かり ます(65%の回答者)。しかし、PBFプロ セスは事業部門と財務 経 理部門の連 携 という形で実施されるべきであるとの見解

(77%の回答 者が同意している見解)は ありますが、今後も財務経理部門が引き 続き最も多くの時間をPBFプロセスに費や していくべきであると考える回答者の割合は、 50%にまで下がってきます。この数字の差が 生じているのは、CEOや事業部門の役割 の増大を予想する見方に分散しているため です。

結果責任の明確化と、PBFプロセスへの 事業部門の管理職の関与の増大だけで、 ただちに成功が保証されるわけではありま せん。経営幹部および組 織 全 体がPBF プロセスのコンセプトを積極的に支持する

か、あるいはそれを適切な行動で実証しな ければ、成功はありません。強力なPBF プロセスが、組織の業績向上においてきわ めて重要な意味を持つ、継続的かつ有意義 な必須の活動であり、事業部門全体にわたる 高いレベルでの積極的関与を要とするもので あるということを認識しなければなりません。

しかし、本調査によると、46%の回答者が、 現行の予算制度では、政治的に合意された 数字を組織のトップから生み出しているに 過ぎず、現実の事業見通しと一致してい ないか、あるいはボトムアップ的な実務の 現実と結び付いていないと考えています。

回答者の

77%

が、計画策定・予算編成・業績予測(PBF)プロセスは、

事業部門と財務経理部門が連携して推進する、企業全体のリスクを

考慮に入れたパートナーシップ型のアプローチでなければならない、

と考えています

Q1

PBFは、事業部門と財務経理部門を結び付ける企業プロセスとして、どうあるべきだと思いますか?

PBFは、企業全体の リスクを考慮に入れ ながら、事業部門と 財務経理部門のパー トナーシップという 協力関係の中で実施 されるべきである 財務経理部門がオー

ナーとなって最 初に 計画を作成すべきで あり、それから事業 部門からの追加的な 見識を受け入れるべき である

本社とのやりとりで使 用する 全社規模の計画策定ツールは、 部門規模の計画策定ツールと 統合されるべきではない 予算は、もっぱら財務

経 理部 門の 独占的な 活動である

(9)

1. 適切な 組織文化と 活動方法を 生み出す

2. PBFプロセス を統合し、質の高い

データを活用する 3. 効果的で

拡張性の高い テクノロジー ソリューションを

導入展開する

COO CFO CEO 2% 2% 5% 5% 6% 3%

3%

65%

7%

50%

12%

19% 18%

2%

Q2

現在および将来のPBFプロセスに最も多くの時間を費やしているのは誰だと思いますか?

社内で、現在、最も多くの時間を計画 策定・予算編成・業績予測(PBF)プロ セスに費やしているのは...

将来、最も多くの時間をPBFプロセス に費やすと予想されるのは...

財務経理部門 事業部門 その他 分からない

あなたは、何人の著名な最高財務責任者(CFO) の名前を挙げることができますか? おそらく、 Bufett氏(世界最大の投資持株会社Berkshire Hathaway の CEO)、Bezos 氏(Amazon の CEO)、Blankfein 氏(Goldman Sachs の CEO)といったCEOの名前のようにスラスラと 出ては来ないでしょう。しかし、今こそ、そうした CEO以外にも目を向け、主役としてのCFOに もっと注目すべき時なのです。今回のKPMGの 調査によると、現在は誰が計画策定・予算編成・ 業績予測(PBF)プロセスを担っていて、将来は 誰が担うべきかに関して、意見の不一致が見られ ます。

それが誰でなければならないと考えるか(CFOか CEOか)は別として、現実問題として、CEO自ら が直接にPBFの旗振り役となる可能性は非常に 低いでしょう。したがって、CFOが十分な統制力 を行使することで、PBFプロセスから抽出される 数 字 の 持 つ 整 合 性が 確 保されるようにする ( つまり、PBFの基本的な「健康管理」を提供 する)必要があります。では、CFOはそれをどの ように実 行し、同 時に企 業における戦 略 的 リーダーとして牽引力を獲得するのでしょうか?

CFOは戦略的な役割を築き上げるため、組織 全体にわたって、特にCレベルの経営陣の中で、

プレゼンスを獲得し、強力な影響力行使のスキル を身に付ける必要があります。今回の調査に よると、CFOはどうやら期待されるほどの発言力 を持っていないように見受けられ、発言力がある と考えている回答者は33%だけでした。

組織は、真に先進的な財務経理部門リーダーを 必要としています。旧来の、特定時点の状況に 基づく厳格な計画策定・業績予測慣行から徐々 に脱却して、効果的なローリングフォーキャスト を「動く標的」(外部要因の変化をリアルタイム で反映するターゲット)とともに導入展開する ために、そのような財務経理部門リーダーが 必要なのです。財務経理部門リーダーは、6 ~ 9ヵ月も前に作成された陳腐化した静的な予算 を使用していては、会社の代表として権威ある 意思決定を下すことなど不可能であることを認識 しなければなりません。

そのような考え方と並んで、CFOは、戦略企画 部門や事 業部門とともに企業 規 模の変 革を 主導する(あるいは少なくとも促進する)カリスマ 性と影響力を必要とします。77%の調査回答者が PBFは企業全体のプロセスであるべきだと考え ているという事実は歓迎すべきものですが、今回 の回答者の大多数は財務経理担当者です。その ような考え方について納得して理解する必要が

あるのは、組織内のそれ以外の人々です。

この発想を受け入れてもらうのは容易ではない でしょう。なぜなら、上級管理職は、予算に 見合った業績を上げれば高い報酬が得られる という傾向があるからです。これは今回の調査 結果にも反映されており、ほぼ半数の回答者が 予算を「政治的に合意された数字である」と見な しています。

では、CFOは何ができるのでしょう? 現段階 では、多くのCFOが、CEOと取締役会の信任 を獲得するために、PBFを変革することの価値 を前もって実証しようとするでしょう。これも また厄介な仕事です。しかし、PBFに対するより 賢明かつ統合的なアプローチを決然と推進する 覚悟ができていないCFOは、より幅広い計画 策定や戦略から完全に閉め出されてしまう危険 があります。

こうした努力はきっと報われるはずです。過去 数年、CFOがCEOの地位に直接昇進する事例 が着実に増えており、これによってCFOは単なる 「そろばん役」を超えた存在になり得ることを実証 してきました。現に、財務経理に対してより先見 的なアプローチを採用してきた企業は発展を遂げ ているのです。

CFOは計画策定・予算編成・業績予測で主役を演じなければならない

(10)

先進的なツールとデータが常にPBFの精度と効率性を高めるわけ ではありません。41%の回答者が、現時点ではCEOが「オーナー」 として組織内のPBFプロセスに対して最終決定権を持っている、 と考えていることが示しているように、もしも企業文化が旧態依然 とした思考様式に根差したままであれば、精度の向上や効率化は 期待できません。

もう1つの重要な企業文化的な課題は、報酬による意欲の喚起、 という長年の問題です。残念ながら、多くの組織では、旧来の計画 策定プロセスから引き出された既定のターゲットを越えることを基準 として社員に報酬を与えるという手法が取られています。その結果 として、容易に達成できる低い数値目標を設定するという当然の

心の動きを生じさせるとともに、組織に何の価値も付加しない冗長な 協議に時間を空費するという行為が助長されることにもなります。

年次予算から生み出される対象期間1年のターゲットが、計画策定 プロセスに包含された長期的戦略目標と整合していることは稀です。 予算を使用して短期ターゲットを生み出していると、短期指向の文化 が醸成され、それが望ましくない行動様式を企業内にはびこらせる 誘因となって、短期的な利得が長期的な価値創造よりも優先される ようになる恐れがあります。

Q3

現在および将来、PBFプロセスをオーナーとして担うのは誰だと思いますか?

COO CFO CEO 5% 5% 4% 4%

4% 3% 3%

7%

41%

36%

33%

30%

13% 13% 社内で、現在、「オーナー」として、

PBFプロセスに関して最終的な 決定権を持っているのは...

将来、「オーナー」として、PBF プロセスに関して最終的な決定権 を持つと予想されるのは...

財務経理部門 事業部門 その他 分からない

46%の回答者が、現在の予算制度は現実の事業

見通しと一致しない政治的に合意された数字を生み

出している、と考えています

かつて2013年に、私は、企業において年次での 予算編成制度の消滅が差し迫っており、遠からず ローリングフォーキャストに道を譲るであろうと 宣言する記事を書きました。それから2年が経ち、 私は今、クライアントとの仕事を通じて、また、 今回の調査結果について考えることで、この考え を再検討し始めているところです。当然ながら、 予算編成と業績予測はともに、企業がステーク ホルダーに対して約束を果たせるよう支援する 役割を持つものです。しかし、予算編成と業績 予測の役割は、企業の意識の中で複雑に絡み あっており、その結果として、注力の不均衡、 結果責任の不明確さ、そして無益な行動様式を 生み出しているように思われます。

第一に、両者の区別を明確に表現すべきです。 予算は、譲れない一線となる確定した数字を 定めるものであり、その時点で入手できる知識と、 会計年度が始まる数ヵ月前に作成した一連の 想定に基づいて組織が達成可能であると考える ものを表します。今回の調査において62%の 回答者が、この定義が自分の組織に当てはまる と述べています。それに対して、四半期予測は 動的なツールであり、実際の市場動向を踏まえて、 業績のギャップを調整します。

私の考えでは、今日の予測不可能なマーケットの 中で、四半期予測が、成長に必要となるアジリ ティと柔軟性の飛躍的な増大に寄与するもので あることは明らかです。調査回答者がこの点を 明確に理解しているかどうか、そして、予算編成 と業績予測(および、そこから生み出される膨大 なデータ)をどのように利用すれば、ビジネスに メリットをもたらすかを明確に理解しているか どうか、私は少し疑問に思います。

一方で、69%の回答者が従来の予算編成プロ セスは5年以内にローリングフォーキャストへと 転換されると予想していること(Q10)を心強く 思います。これは、企業の年次予算編成制度の 消滅について私が以前考えていたことと一致し ます。しかし、他方、66%が、業績予測は大幅に 自動化され、手動介入はほとんど不要になる、 とも考えています。

これは、意 思決 定の実現手段の1つとしての 業績予測の役割が回答者に理解されていない、 と私が考えるポイントです。つまり、そうなると、 業績予測は、大規模に自動化されたシステムに よって吐き出されるレポートをまた1つ増やした だけ、説明すべき数字の山をさらに1つ追加した だけに過ぎなくなります。

しかも、今回の調査が浮き彫りにしたように、 多くの組織内では、予算編成プロセスにも憂慮 すべき欠陥があります。半数が、予算は政治的 に合意された数字であると感じており、個人や チームがそれぞれに固有の業績目標を満たす ためにそれを利用している、と回答しています。 予算編成プロセスの真の目的を本当に認めている 人は少数でした。

では、財務経理担当者の立場はどうなるので しょうか? その役割は何なのでしょうか?  私の考えでは、予算編成・業績予測プロセスが もたらし得るさまざまな役割と価値を実証する ことこそ、財務経理部門の仕事なのです。

財務経理部門は、検討会議で方向性や基 本 姿勢を打ち出すことや、成果を審査するときに 厳格さを導入すること、そして、事業部門が提起 する予算や予測に異議を申し立てることにより、 これを実践することが可能です。これにより、 財務経理部門の地位を高め、プロセスを動かす だけの単なるバックオフィス機能の1つから、事業 部門に対する真のパートナーへと変貌させること ができます。

予算編成・業績予測プロセスの役割は誤解されているか?

(11)

適切な組織文化と

企業活動を生み出すための

鍵となる主な施策

トップダウンと

ボトムアップへの注力

CFOは、経営幹部が予算プロセスを政治 的な駆け引きの場にしたり、数字への合意 を独裁的に取り決めたりするのを阻止する ために、企業全体への働きかけを継続し なければなりません。

意思決定のあり方を

明確にする

PBFプロセスの中で「誰が何をするのか」 ということは、適切に対処すべき重要な課題 です。特に、指揮命令系統がマトリックス 型になっている大企業ではこの点が顕著 です。

明確な意思決定権限と役割は、指揮命令 の重複を防ぎ、関係者からの積極的な支持 を得る上で助けとなるものです。

事業部門が

結果責任を担う

PBFプロセスは、事業部門がオーナーと なり、それを財務経理部門が支援する形で なければなりません。それによってはじめて、 事業部門と財務経理部門の一体性とそれ ぞれの真の当事者としての責任感が、企業 全体を通じて生み出されることになります。

(12)

Q4

業績予測の中に外部データを取り込む割合を大幅に増やすことは、業績予測の精度の点で大きなメリットをもたらすと思いますか?

2

4%

2% 10%

51%

33%

PBFプロセスを統合し、

質の高いデータを活用する

PBFプロセスの真の目的は、計画的なイニシアティブ、予算化された 資源配分、およびローリングフォーキャストを通じて企業戦略を支援 することであり、企業環境の変化がどの程度まで自社の目標達成 能力に影響を及ぼしているかを継続的に確認することです。しかし、 現実には、多くのPBFプロセスは分断された個別の管理活動に なっていて、それらは企業全体から必要情報を収集することなく 財務経理部門によって推進されるものと社内で見られがちです。

62%の回答者が、予算が単なる「ある特定の一時

点」の展望に過ぎず、外部で現実に起こっている

ことを反映できていない、と考えています

現状の組織を変革するためには、財務と業務の計画策定をより密接 に結び付けることが必要であり、それによって、部門ごとに別々に 分かれた活動ではなく、真に統合された事業計画策定プロセスを 生み出す必要があります。計画策定におけるアジリティの増大と、 組織全体にわたるより迅速かつ正確な意思決定に対する要求が 高まっている今、こうした姿勢が従来にも増して、ますます必要 不可欠になっています。

予算編成は、財務経理部門と他の部門の統合性が著しく欠如して いる一例であり、その結果として、予算編成プロセスからのアウト プットが企業全 体にとってほとんど役に立たなくなっています。 今回の調査では、62%の回答者が、予算は単なる「ある特定の 一時点」の展望に過ぎず、市場の外部で現実に起こっていることを 反映していない、と考えており、56%が、当該年度中のある時点 で予算は妥当性を失ってしまう、と考えています。それでも、回答 者の3分の1以上が、自分の会社はまだローリングフォーキャスト を利用していない、と回答しています。

PBFのアウトプットの価値は、基本的に、その最も重要な素材、 すなわち、データの品質に依存しています。しかし、今回の調査 では、質の低いデータが多くのPBFプロセスの実効性を毀損し 続けていることが確認されています。

PBFプロセスが依然として非効率的である理由は、自社にとって 最も適切なデータを使用していないからです。財務経理部門は、 ビジネス指標の激増を背景として、過剰にレポートを出し続けて いますが、そうした指標の中で、真の戦略的な重要業績指標(KPI) であるものは、もし存在したとしても少数です。そのようなKPIは 事業戦略と整合化されるので、そのKPIを、データを構造化する ためのマップとして使用すれば、結果として、ビジネスバリュー ドライバー(ビジネス価値増大の推進要因)と整合化されたデータ 構造が得られるでしょう。そうすることで、組織がデータを利用して 効果的な意思決定を下せるようになる可能性が高まります。

多くの組織が、PBFプロセスの中核にある内部データにフォーカス し続けています。本調査のほぼ3分の1の回答者が、外部データは 業績予測プロセスで使用されていないか、またはその適用方法が 限られている、と示唆しています。一方で、84%の回答者は、外部 データを取り入れることで業績予測の精度を大幅に向上できるだろう と考えています。データの品質は、計画策定プロセスにおける社外 データの利用を妨げている主な阻害要因として挙げられており、データ 分析の利用を妨げる障害としてよくあるものとみなされています。

テクノロジーは、データ関連のあらゆる問題に対するソリューション のように思われがちですが、十分な品質レベルを有する正しいデータ が適時に利用可能である場合にそのような効果を発揮するに過ぎ ません。また、データ分析の自動化は、財務会計(Transactional Finance)の場合と同様、企業業績管理(EPM)においてもコスト 削減を実現する手段の1つであると捉えられがちです。

まったく

(13)

45%

19%

6%

5%

5%

9%

3%

8%

Q5

計画策定プロセスにおける外部データの効果的かつ効率的な利用を妨げている最大の阻害要因はどれで

しょうか?

1. 適切な 組織文化と 活動方法を 生み出す

2. PBFプロセス を統合し、質の高い

データを活用する

3. 効果的で 拡張性の高い テクノロジー ソリューションを

導入展開する

データの品質

データが何を示唆し ようと関係なくトップ ダウンの意思決定を 下そうとする文化

データ構造に矛盾 がある

コスト

技術動向

データの量

何もメリットがない という意識

分からない

3分の1を超える回答者が、まだローリング

フォーキャストを使用していない組織に

勤務しています

3分の2を超える回答者が、従来の予算

編 成プロセスは5年 以内にローリング

フォーキャストへと転換されるだろうと考え

ています

データの信頼性が低ければ、PBFプロセスを通じて事業戦略を実施する ことは難しくなります。45%の調査回答者が、データ品質は外部データ の効果的かつ効率的な利用を妨げている最大の阻害要因である、と 感じているという事実は、データ品質に関して組織が直面している課題 を浮き彫りにしています。

私の経験によると、低品質のデータがもたらす結果の1つは、事業部門 が生み出した数字を財務経理部門が無効にしてしまい、事業部門による 予算と予測を、直観や経験に基づく推測で置き換えてしまうことです。 この種のプロセスが生み出した予算と予測に対して、事業部門がオーナー としての責任を感じることはありません。

私は、経営環境が(たとえば、ビッグデータの活用、グローバル取引 の増加、税制や法規制の変化などを通じて)複雑化するのに伴って、 以前は成功していた企業が経営難に陥る姿を目撃してきました。私見では、 その原因は、そうした企業が低品質のデータを使用し続け、その結果 として、十分な信頼性に欠ける情報に基づいて意思決定を下していた ことにある、と思います。

たしかに、企業が「ハードデータ」(確立された信頼性の高いデータ) だけを使用して、通念を覆すような革新的な意思決定を下すことは決して ありません。経営幹部は、同僚との会話や自分自身の経験を通じて、 そしてサプライヤー、コンサルタント、そして顧客の見解のサンプリング を通じて得た「非構造化データ」の価値を正しく評価すべきなのです。 しかし、データと分析(アナリティクス)によって明らかになったビジネス チャンスは、それに投資する企業に競争優位性を提供するでしょう。

調査対象者のうち、変化する変数の迅速な分析を可能にする柔軟な データモデルをPBFプロセスに組み込んでいるのは21%に過ぎません でした。めまぐるしく変化し、ますます競争が熾烈化するビジネス環境は、 変化する状況に即応できるアジリティの高い計画策定プロセスの導入 展開に対する、新たな需要を生み出しています。

たとえば、鉱業の大手企業数社が、市場価格の変動をPBFプロセスに 組み入れるシナリオモデルを導入したとします。価格変動を先取りして、 ある鉱山で銅の生産を減らし、別の鉱山で石炭の産出量を徐々に増や していく能力は、その企業の利幅を最大化し、競争優位をもたらして いるでしょう。

データは、PBFの重要な実現手段です。事業部門が柔軟で効果的な PBFプロセスから得られる付加価値、すなわち、確かなデータに通じた 質の高い意思決定に基づいて実現される付加価値が、データの重要性 を証明しています。財務経理部門は、データと洞察に主導される企業 への変貌を目指す改革で、リーダーの役割を果たすことができます。

今日の勝ち組の企業はデータから最も

優れた洞察を引き出している企業である

Hayley Rocks

| Senior Manager,

(14)

Q6

計画策定プロセスにおけるデータ分析の、効果的かつ効率的な利用を妨げている最大の阻害要因はどれで

しょうか?

31%

10%

11%

7%

5%

17%

13%

8%

しかし、自動化されたアナリティクスによって業績に関する洞察を 提供するためには、はるかに困難な道のりを踏破する必要が生じ ます。すなわち、その途中で根本的な発想の転換を成し遂げ、 従来の手作業による戦略的プロセスの一部を自動化することが できるという考え方を受け入れる必要があります。

組織が保持するデータがいまだかつてない量に達している時代に あって、内部と外部の両方のデータ品質は、PBFプロセスにおける 外部データの取込みとデータ分析の利用を妨げる、最大の阻害要因 であると見なされています。

したがって、多くの組織は、PBFの自動化を通じて達成できる コスト削減の機会を逸しており、組織の持つ潜在的な競争優位性 とPBFプロセスの戦略的重要性を下落させています。内外のデータ がPBFに効果的に統合されなければ、ビッグデータは機会ではなく、 効果的なプロセスの阻害要因であると見なされる結果に終わります。

より多くの、そしてより優れたデータソースを構造化して利用する メリットは広範囲にわたります。データを構造化して戦略目標と 整合させることにより、組織は資源配分を改善し、戦略を達成 する機会を最大化できます。統合された外部データは、業績予測 の精度を向上させ、正のキャッシュフローと資産の有効利用を促進 します。

組織にとって引き続き問題となるのは、現行のデータ構造に起因 する不適切な意思決定に関するコストや、改革を成功させるため のコストと比較しながら、改善されたデータの価値を証明すること です。改善された意思決定と資源配分の価値を定量化することは、 それを達成するための短期的コストを定量化することよりはるかに 困難です。一方、財務会計の自動化への投資はもっと容易でした。 なぜなら、コストの削減と財務経理組織の合理化という具体的な 成果が得られるからです。

データの品質

データが何を示唆し ようと関係なくトップ ダウンの意思決定を 下そうとする文化

データ構造に互換 性がないこと

コスト 技術動向

データの量

何もメリットがない という意識

分からない

PBFでは財務経理部門と他の事業部門の協力 関係が必要不可欠です。調査回答者の4分の3 以上がこの見解に同意していること(Q1)は、 私にとっては朗報です。

しかし、組織内の現実はそれほど甘くありません。 明らかに、財務経理部門は依然として最も多くの 時間をPBFに費やしている部門であり、もう しばらくそれに変化はないでしょう。本来、事業 部門はより多くの責任を担う必要があります。

PBFプロセスは、組織が自社の市場戦略とポジ ション、課題、そして機会について共同で検討 する数少ない機会の1つなのです。もし、財務 経理部門だけがそれを暗い部屋に閉じこもって それを実行しているなら、それは機会損失を していることになります。財務経理部門が、長年 にわたって事業部門によって業績というスコアの 「公式記録員」であると位置付けられてきたから

といって、この機会を逃すのはもったいないこと です。

財務経理部門だけが単独でPBFに取り組んで いると、業績把握の正確さと信頼性が低下し ます。これは歓迎されることではありません。 投資家はサプライズを嫌い、特に業績の下方 修正を嫌います。したがって、企業はマーケット に対して、約束どおりの業績を実現できるという 安心感をもたらす必要があるのです。

もちろん、財務経理部門にはPBFに付加価値 や正確さをもたらす能力がない、と言っているの ではありません。財務経理部門にはすでにその 実績があります。しかし、今日のマーケットの 複雑さは、そして、変化のスピード、ボラティリティ の増大、そしてグローバル化の進行は、より協働 指向のアプローチを要求しているのです。戦略 企画部門、セールス部門、マーケティング部門、

調達部門、製造部門、そして財務経理部門を 含む、企業全体からの既成概念にとらわれない 思考が、よりバランスの取れた完成度の高い予算 と業績予測を生み出す助けとならなければなり ません。

あらゆる事業部門が、多かれ少なかれ、毎日、 計画策定と業績予測を行っています。もし財務 経理部門がそうした部門に代わって仮説を立てる 作業を一手に引き受けたら、ミスが増えすぎて、 高業績組織が許容できる範囲を超えてしまう可能 性が高いでしょう。

これまで、PBFに関するシェアードサービス センター、ツール、およびプロセスへの投資機会 は見逃されてきました。組織は、過少投資と価値 の逸失をこれ以上続けることはできません。今が 行動すべき時なのです。

PBFプロセスは依然として財務経理部門に依存している

(15)

PBFプロセスを統合して

高品質なデータを活用するための

鍵となる主な施策

バリュードライバーを

企業全体で整合させる

データの構造と要件を見直すことで、より長期的 な戦略を提供するビジネスバリュードライバーと 整合化されたデータを中心としてPBFプロセスが 構築されるよう、取り計らう必要があります。

成功を測るための一貫性のある

指標について合意する

企業は、PBFプロセスに関して、何が成功をもた らし、何が失敗なのかを明確に理解する必要があり ます。予算を守ることが機会損失を生み出していま せんか? 業績予測プロセスの精度はどのくらい ですか?

より優れたデータガバナンスを

導入する

全社的に、データに対する明確な説明責任を割り 当て、サイロ化した部門別のデータのオーナーシップ を撤廃する必要があります。これにより、特定された 鍵となるプロセスにおけるクリーンで、一貫性のある、 完全なデータが供給されるようになり、「唯一の 真実」が生み出されます。

適切な外部データを

取り入れる

顧客需要データ、サプライヤー情報、政府資料や 経済データ、そして競合情報はすべて重要です。 こうしたデータをPBFプロセスの中に取り込んで 活用することにより、精度と信頼性を高め、柔軟 なシナリオモデルの作成を促進すべきです。

ローリングフォーキャストを

活用する

(16)

Q8

計画策定アプリケーションへの投資は貴社の組織内でどのように見なされていますか?

Q7

(すなわち、Excel 貴 社の 組 織は特 定の計画 策 定アプリケーションⓇ以外のツール)にすでに投資

していますか?

3

41%

11%

7%

19%

21%

36%

17%

16%

19%

12%

効果的で拡張性の高い

テクノロジーソリューションを導入展開する

財務経理部門は、ビジネステクノロジーが断片化された状況の 中で苦闘し続けています。現行のテクノロジーの多くは、変化する ビジネスモデルや事象に即応できるほど十分なアジリティや適応力 を備えていないため、効果的なPBFプロセスをサポートすることが できず、多くの企業は未だに表計算シートの世界に閉じ込められた ままです。

第1の課題は、投資の妥当性を論証することです。多くの(36%の) 調査回答者が計画策定アプリケーションへの投資を戦略的付加 価値をもたらすために必須であると見なしていますが、41%の回答 者は特定の計画策定アプリケーションにまだ投資していません。

41%の回答者はExcel

®

以外の特定の計画策定

アプリケーションにまだ投資していません

従来からのシステムプロバイダーにより企業向けシステム市場が 支配されている状況の中でも、全社的なテクノロジーソリューション を持つ新興企業がPBFツールの分野で台頭してきたことで、徐々に PBFツールの導入コストを引き下げています。クラウドなどでPBF アプリケーションの適応力が増大し、大規模な全社一括導入も 不要になっています。さまざまなデータを取り扱う代わりに、新しい、 より動的なアプリケーションを利用して、データソースとデー タ構造を全部門にわたって統一することが可能となってきました。 データが構造化されているか否かに係らず、内部と外部の大量の データを使用して、照合、分析、モデル化、報告を行う能力を向上 できるようになりました。さまざまなデータに対して検索、検討、 報告を実行するツールを導入することで、組織は、PBFプロセスを はるかに効果的に活用することが可能となるのです。

新しいPBFテクノロジーへの投資により、さまざまなメリットが期待 できます。財務経理部門は(および企業内の他の部門も)、価値 創造と目標達成に対する企業全体の協働指向アプローチを推進する ためには、市場に登場する新しいPBFツールをより的確に理解する 必要があります。

テクノロジーの向上につれて、企業は、従来の静的報告のアプローチ (すなわち、何が起こったかをターゲットに照らして記述する手法)

から脱却し、精度の高い将来予測へ注力し始めており、その影響 を受けて、組織文化にも変化の兆しが現れ始めています。事前定義 された分析のほか、予測分析までも組み込んだツールは、高度化 されたプロセスの自動化をサポートするでしょう。

はい、しかし、計画 策定アプリケーション は期待されたメリット すべてを実現して いるわけでは ない

いいえ

は い、 し か も、 計画策定アプリ ケーションは期待 どおりのメリット を実現している

はい、しかし、計画策定アプリ ケーションは何もメリットを実現 しなかったので、すでにExcel®

/手動プロセスに戻っている

分からない

戦略的 ― 付加価値を 提供する

戦術的 ― 全社に メリットをもたらす

戦略的 ― コスト 削減と効率化を 実現する 戦術的 ― 財務経理

部門のみにメリットを もたらす

(17)

Q9

シナリオモデリングは貴社のPBFプロセスにどの程度まで組み込まれていますか?

24%

27%

15%

21%

13%

予測分析ツールは、データを使用して機会を 予測するだけでなく、リスクを織り込むこと により精度が向上しており、より的確な情報 に基づいたタイムリーな意思決定に役立ち ます。このようなツールは何年も前から利用 可能でしたが、大多数の組織はその可能性 を全面的に引き出す形では利用できていま せん。

予測分析ツールは、さらに踏み込んで将来 の機会とリスクを予測し、それに応じて、 講じるべき推奨施策を指示することができ ます。また、このツールは、実行された施策 とその施策の実行後の成果を記録して学習 し続けるので、類似の状況が発生したとき にさらに優れた洞察を提供します。

しかし、今回の調査によると、PBFプロセス における分析技法とシナリオモデリングの 適用はまだ初期の段階にあります。自社の 現在のPBFプロセスが十分に柔軟なシナリオ モデリング機能を組み込んでいると述べた 回答者は少数(21%)に過ぎず、13%は基本 的な感度分析しか使用したことがないと回答 しました。

1. 適切な 組織文化と 活動方法を 生み出す

2. PBFプロセス を統合し、質の高い

データを活用する

3. 効果的で 拡張性の高い テクノロジー ソリューションを

導入展開する

PBFプロセスが十 分に柔 軟な

データモデリング機能を組み込ん

でいると回答したのは21%に過ぎ

ませんでした

シナリオは単発的な偶発 事 象 へ の 対 応 として、 アドホックにモデル 化 している

PBFプロセスはある種の データ変数への対応とし てシナリオモデリングを 組み込んでいるが、十分 ではない

PBFプロセスは変 化に 対する迅速な分析を可能 にする柔軟なデータモデル を組み込んでいる 分からない

(18)

Q10

将来の業績予測は高度に自動化され、アナリティクスソフトウェアが企業全体で利用され、人間によるわずかな手直ししか行われなくなると思いますか?

33%

8%

21%

33%

4%

32%

4% 15%

37%

12%

まったく

そう思わない そう思わない そう思う 強くそう思う 分からない

従来の予算編成プロセスは5年以内にローリング フォーキャストへと転換される

将来の業績予測は高度に自動化され、アナリ ティクスソフトウェアが企業全体で利用され、 人間によるわずかな手直ししか行われなくなる

新しいソフトウェアツールは、組織全体の業績に対する高度な ビジビリティ(「見える化」能力)を提供するようになりました。 ビジビリティの高いリアルタイムダッシュボードを通じて、企業 全体で主要な業績ターゲットに対する結果責任を強化することが 容易になっています。このようなツールは、より統制が強化された 形でセルフサービスによる予算編成・業績予測の責務をライン部門 に組み込むことに役立ち、全員が予算と業績予測がどのような前提 に基づいているかを確認できるようになります。統制が改善される 理由は、ワークフローと、拡大された自動化機能のおかげで、手動 のデータ照合やデータ入力に対する依存度が減少し、PBFプロセス がより効果的に管理されるようになるからです。未来に目を向ける と、3分の2の回答者が、業績予測は高度に自動化され、アナリ ティクスソフトウェアが企業全体で利用され、わずかな手直ししか 行われなくなる、と回答しています。

SaaS(software-as-a-service)ソリューションに対する関心の 増大と、クラウドに基づいた妥当なコストのソリューションの大量 出現により、新しいテクノロジーを取り入れてプロセスを改善する 機会が著しく増加しています。しかし、今回の調査によると、新しい テクノロジーは引き続き一定の不安感をもって受け止められています。

半数以上の調査回答者が、PBFプロセスを包括的な形で適切に 実現できるクラウドソリューションの存在について、「分からない」 と回答するか、その意義を否定していました。これは、多くのテク ノロジー専門家が、そのようなテクノロジーこそ企業全体PBFツー ルの未来像であると考えていることと矛盾します。

56%の調査回答者が、クラウドソリューションが

包括的な形でPBFプロセスに適切な機能を提供

することについて、「分からない」と回答するか、

または否定していました

60%が、クラウドソリューションはPBFプロセスの

ために使用する情報を保持するのに十分なセキュ

リティを備えていない、と考えているか、または

「分からない」と回答しました

こうしたテクノロジーは、PBFの変革という点では比較的新しい ものであるため、まず、少数の先進的な企業がクラウドを取り入れ てからでないと、あらゆる市場や企業に対してPBFテクノロジーが 変革し始めることは難しいのかもしれません。

(19)

調査回答者の41%が適切な計画策定テクノロ ジーにまだ投資していない、という結果(Q7) は衝撃的かもしれませんが、私にとってはまったく の想定外ではありません。計画策定にはさまざま な形式がありますが、組織全体の活動である ことは同じであり、その結果として、多くの組織 では単独のエグゼクティブオーナー 1名を指名 することが難しくなります。そのため、アプリケー ションに対する企業全体の承認を取り付けるのが 困難な課題になることがあります。

しかし、潮目は変わりつつあります。過去3~5年 の間に、PBFツールに著しいイノベーションが 生じているのです。たとえば、動的クラウド ソリューション、デバイスを問わないモビリティ 機能、そして、リアルタイム分析/予測モデル との統合などです。

こうしたソリューションの採用の著しい進展は 多くの分野から生じており、今回の調査からも 明らかなように、その大多数はそこから戦略的 なメリットを見出しています(Q8)。

しかし、4分の1を超える調査回答者がそのような

投資の結果に失望しているという事実も無視 できません(Q7)。厚かましく聞こえる危険を 承知で言えば、私は、テクノロジー自体が失望の 理由ではないのではないか、と思っています。

私が知りたいと思うのは、どれだけ多くの組織 が計画策定プロセスとスキルをそうしたソリュー ションの導入時に変革しているか、ということ です。

旧来の表計算シートを利用した予算を新しい 動的なツールで再現すると、かえって複雑さが 増大し、パフォーマンスに関する問題が発生し ます。それは、組織がドライバーベースの計画 策定ツールによる業績予測精度の向上から引き 出す価 値を減 少させ、 計 画と行 動 に対して オーナーとして結果責任を担っているという感覚 が組織から失われます。

後者の問題は重大です。PBFは、従来、財務 経理部門がオーナーとなってきたプロセスなので、 もし事業計画や経営計画が財務経理プロセス と統合されない場合、結果として、信じる人も 支持する人も誰もいない予算が出来上がって

しまいます。

効果的なPBFは、企業全体で、その末端に至る まで、事業戦略の実行と整合化を支援すべき ものです。企業がこれを実行できるのは、事業 部門やその他の部門からの積極的な支持がある 場合だけであり、それが欠けている場合、財務 経理部門は、PBFにより企業全体の目標や戦略 と整合させるために必要となる洞察と見通しを 得ることが困難になるでしょう。77%の調査回答 者がPBFは事業部門と財務経理部門の共同作業 であるべきだと考えています。しかし、大半が それを現実に実践しているとは考えにくいところ があります(Q7)。

私の考えでは、ここでの共通のテーマ、あるいは 問題は、企業文化です。残念ながら、計画策定 の領域では、古い習慣がなかなか廃れない傾向 があります。私の願いは、より多くの企業が 革新的な計画策定ソリューションを選択する ようになり、それにつれて「文化的な統合」が 導入を成功させる秘訣であることにCFOが気づ いて欲しい、ということです。

計画策定テクノロジーの古い慣行は簡単には廃れない

(20)

財務経理部門は、保有するデータを常に保護して きました。それにはもっともな理由があります。 財務成績や決算結果の機密性を踏まえれば、 過去と将来の両方のために、財務経理部門が 常にこの情報を「鉄壁」の守りで防護してきた のは当然のことです。したがって、この情報を クラウドの中に移行するという発想は、恐ろしい とか、まったく無謀であると見なされても仕方ない のです。

私の意見では、いかなる財務データもクラウドに 移行することができない、という発想は著しく 根拠を欠いています。「クラウド」は多用される 言葉にもかかわらず、大いに誤解されています。 現実には、一部のIT内部統制と少なくとも同 程度のセキュリティをクラウドは提供している はずです。しかも、「私たちのデータが誰か他人 のサーバー上に置かれている」という事実は、 サードパーティプロバイダーが運営するデータ センター内にホスティングされている場合と何の 違いもありません。

今回の調査の中のクラウドに関連する質問に

対して、これほど多くの「分からない」が回答 として付けられたのは納得のいくものでした。 テクノロジーを導入するソフトウェアベンダーや 企業が、クラウドのメリットについて顧客企業に 十分な情報提供を行っておらず、誤解の解消も 不安の軽減もしていないことは明らかです。

私の意見では、クラウドは、おそらくPBFテク ノロジーにおける最大の進歩であると思います。 その低廉な所有コスト、管理委託型のアップ グレードパス、その他のさまざまなIT効率化、 そして投資負担が軽いという特性はすべて宣伝 文句として効果的ですが、実は、クラウドに固有 の真のセールスポイント(USP)はアクセス可能 性の広さと容易さです。事業部門に対する支援、 ライセンスの管理と更新、バックアップ、そして アップグレードなどを含む、毎月の発生経費は、 長く使用されてきたPBFツールと比べて、費用 対効果の点ではるかに優れています。

(単なるテクノロジーではなく)リアルタイムの PBFプロセスを組織全体にわたって迅速に導入 展開できる能力は、営業、人事、業務の各部門

同士がより効果的に協力し合うことに役立つで しょう。また、一本化された単一のプロセスと 数字に対するオーナーとしての責任感の増大を 通じて、情報の質(Q5)も向上するでしょう。

今回の調査によれば、財務経理部門における クラウドの採用は依然として初期段階にあります が、クラウドベースの計画策定ツールの市場が 拡大しつつあるのは明るい材料です。そうした ツールの低い所有コストは、規模の大きい組織 だけでなく、中堅企業もより効率的なPBFプロ セスを導入する余裕が生じることを意味してい ます。

今や、手動プロセスを使用してPBF活動を実施 することに固執する企業からの言い訳はほとんど 無意味であり、手動プロセスを使い続けることで 得られるものは何もありません。クラウドPBF 市場は、ますます多くの企業がクラウドPBFの 提供する競争優位を理解するようになるにつれて、 今後も成長し続けるだろうと、私は予想してい ます。

クラウド:PBFテクノロジーにおける最大の進歩

(21)

効果的で拡張性の高いテクノロジー

ソリューションを導入展開するための

鍵となる主な施策

発展するPBFテクノロジー

市場に精通し、

そこで有形のメリットを

実現できることを理解する

市場への新規参入企業が従来からのIT企業と競争 を展開する中で、ソフトウェアコストは下落し続け ており、新機能の改善も続いています。企業は、 この外部市場の動向を継続的に監視する必要が あります。

投資の妥当性を明確化しておく

組織は、ビジネスケースが効率化なのか、効果の 拡大なのか、その両方を求めているのかを知る必要 があります。ビジネスケースは資源配分の改善を 通じた資源の有効利用の最大化、コスト削減を 可能にする自動化などのメリットの追跡を可能に する必要があります。

テクノロジーは解決策ではなく

実現手段であることを理解する

テクノロジーは、企業全体への展開や、プロセス /レポーティングの自動化など、多くのメリットを もたらします。ただし、その前にデータの完全性 と基盤となるプロセスの問題を先に解決しなけれ ばなりません。

競争優位を達成する

(22)

執筆者について

John O’Mahony

Johnは、英国におけるEPMサービスの提供 を主導しており、そこで、計画策定・予算 編成・業績予測(PBF)、業績報告、および 多次元による収益性管理の改革を進めて いる大規模で複合的な多国籍企業の支援 に携わっています。

KPMG入社前は、9年間、産業界で活動 し、グローバルな優良企業の財務経理マネ ジャーや部門財務経理責任者を含む、さま ざまな上級管理職を歴任しています。

Jamie Lyon

Jamieは、CFOの 役 割に関するACCAの 活 動とリサーチを先 導 するグローバ ル ナレッジリードです。非常に多数の経営 および財務関係メディアに寄稿しており、 Financial Times、Accountancy Age、 Finance Director Europe、Finance Director Outsource Magazine、ITNを はじめとする、世界中のメディアに登場して います。

ACCAに加わる前は、会計士の資格を得て、 産業界で、英国やその他の国で複数の著名 なFTSE 100企業に勤務しながらキャリア を積みました。

謝辞

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(24)

© 2015 KPMG LLP, a UK limited liability partnership and a member irm of the KPMG network of independent member irms afiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

© 2016 KPMG Consulting Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member irm of the KPMG network of independent member irms afiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved. Printed in Japan. 16-1545

本レポートは、KPMGインターナショナルおよびACCAが2015年7月に発行した"Planning, Budgeting and Forecasting -An eye on the future" を翻訳したものです。翻訳と英語原文間に齟齬がある場合は、当該英 語原文が優先するものとします。

ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではあ りません。

私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点およびそれ以降においての 正確さは保証の限りではありません。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショ ナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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お問合せ先

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〒100-0004

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パートナー

後藤 友彰

tomoaki.goto@jp.kpmg.com

ディレクター

中嶋 功

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